「トルクの平均値と最大値の比」を修正して再設計
前回の電磁界解析により、動作点Aは仕様以上のトルクが出力できる一方、動作点Bは仕様の8割以下のトルク出力となることがわかりました。そこで、今回は再設計を行います。ただし、再設計と言っても修正箇所は明確です。
Motor Sketcherによる初期設計では「トルクの平均値と最大値の比」というパラメータを仮決めした値にしていました。設計結果が要求仕様を満たさない原因は、このパラメータが適切な値でなかったことです。そこで、「トルクの平均値と最大値の比」を修正します。修正後の値は次式で求められます。
$$\alpha_{n+1} = \frac{\alpha_nT}{T_{ana}}$$
ここで、\(\alpha_{n+1}\)と\(\alpha_n\)はそれぞれ、トルクの平均値と最大値の比の修正後と修正前、\(T\)は仕様のトルク平均値、\(T_{ana}\)はトルク平均値の解析結果です。前回の電磁界解析の結果をもとにして、Motor Sketcherに入力するトルクの平均値と最大値の比を求めると、動作点Aで1.30、動作点Bで1.91となります。
図4.1に再設計を考慮したMotor SketcherによるSRモータの設計フローチャートを示します。トルクの平均値と最大値の比を修正した後は、これまでの手順を繰り返すことで、トルク平均値の解析結果が仕様のトルクに収束します。

図4.1 Motor SketcherによるSRモータの設計フローチャート
再設計結果
図4.2にMotor Sketcherによる設計の試行回数と各動作点のトルク平均値解析結果を示します。今回の場合、3回の試行で仕様通りのトルク出力が得られることがわかります。
表4.1に最終設計結果を示します。初期設計では動作点Aにおけるトルク平均値が仕様以上だったため、最終設計では外径、積厚ともに小さくなりました。

図4.2 設計試行回数とトルク平均値解析結果
表4.1 SRモータの最終設計結果
| 項目 | 初期設計結果 | 最終設計結果 |
| ステータ外径[mm] | 129.8 | 124.9 |
| ステータ内径[mm] | 68.2 | 65.1 |
| ステータティース幅[mm] | 8.9 | 8.5 |
| ステータヨーク幅[mm] | 6.9 | 6.6 |
| ロータ外径[mm] | 67.6 | 64.5 |
| ロータ内径[mm] | 40.8 | 38.2 |
| ロータティース幅[mm] | 8.8 | 8.4 |
| ロータスロット深さ[mm] | 7.5 | 7.5 |
| 積厚[mm] | 41.3 | 38.3 |
| コイル巻数 | 16 | 18 |
| 最⼤電流(動作点A)[A] | 36.7 | 32.6 |
| 最⼤電流(動作点B)[A] | 26.9 | 31.7 |
おわりに
今回は弊社からリリースしたMotor Sketcherを使ってSRモータの設計を行いました。電磁界解析と併用することで、仕様通りのモータが設計できることをご理解いただけたと思います。
今回の設計では鉄損、機械損、漂遊負荷損といった損失を考慮していませんので、これらの損失を考慮する場合は、Motor Sketcherに入力する仕様の「出力」に損失分を上乗せして使っていただければと思います。
