第4回:永久磁石同期電動機の電力とトルク


 永久磁石同期電動機の入力電力と出力トルクの関係について考えます。永久磁石同期電動機の入力電力は電圧と電流の内積によって得られ、以下の式となります。ただし、ここでは座標変換を絶対変換とします(相対変換で求める場合は1.5倍する必要があります。)。
$$
\begin{equation}
\large P_{in} = i_d v_d + i_q v_q  \label{電圧と電流の内積で表した入力電力}\tag{4.1} \\
\end{equation}
$$
(\ref{電圧と電流の内積で表した入力電力})の\(v_d\)、\(v_q\)に電圧方程式を代入すると以下の式となります。
$$
\begin{equation}
\large P_{in} = R(i_d^2 + i_q^2) + \frac{d}{dt}\left[\frac{1}{2}(L_d i_d^2 + L_q i_q^2)\right]
+ \omega_{re}\left[ \psi i_q + (L_d – L_q) i_d i_q\right] \label{dq電流で表した入力電力}\tag{4.2} \\
\end{equation}
$$
(\ref{dq電流で表した入力電力})式の右辺第一項は巻線の銅損、第二項はインダクタンスに蓄えられるエネルギーの変化、第三項は機械出力を表しています。ここで、トルクは機械出力を回転機械速度で割ることで求めることができるため、 トルクは以下の式となります。
$$
\begin{align}
\large T &= \large \frac{\omega_{re}\left[ \psi i_q + (L_d – L_q) i_d i_q\right]}{\omega_{rm}}  \label{PMSMのトルク}\tag{4.3} \\
\large  &= \large \frac{\omega_{re}\left[ \psi i_q + (L_d – L_q) i_d i_q\right]}{{\omega_{re}}/{P_f}} \nonumber \\
\end{align}
$$
(\ref{PMSMのトルク})式を整理すると以下の式となります。
$$
\begin{equation}
\large T = P_f \psi i_q + P_f (L_d – L_q) i_d i_q \label{マグネットトルクとリラクタンストルクの和}\tag{4.4} \\
\end{equation}
$$
ここで、(\ref{マグネットトルクとリラクタンストルクの和})式の右辺第一項はマグネットトルク、第二項はリラクタンストルクを表しています。マグネットトルクは回転磁界と回転子永久磁石との間の吸引反発力によって発生し、リラクタンストルクは回転磁界と回転子の鉄との間の吸引力によって発生します。
 図4に電流位相角\(\beta\)とトルクの関係を示します。電流位相角は誘起電圧ベクトルに対する電流ベクトルの進み角です。マグネットトルクは\(\beta=0\)のとき最大となり、リラクタンストルクは45度のとき最大となります。それぞれのトルクの大きさによって合成トルクが最大となる電流位相角が変化します。

図4.1 電流位相角\(\beta\)とトルクの関係